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その森はじめじめとした臭いがして、まだ陽も沈んでいないのに辺りはもう薄暗くなり始めている。
所々大きな岩もあり、木に巻き付く太いツルや腰の辺りまで延びたしだ植物を見た小学生の3人は、映画の世界に迷い込んだような感覚に襲われる。
進むにつれ地面に角度がつき、あんなに元気だったたくも段々口数が減ってきた。
セミの鳴き声が響き渡る森は様々な植物や虫が沢山生殖しているが、どこか淋く気がつくとあんけんを先頭に3人は固まって歩いていた。
しかし変なのはあんけんだ。いつもならこの植物の名前はどうとか、この昆虫の特徴はとか誰も聞いていないのに1人で喋り続けるのに、今日は林に入ってから一度も口を開いていない。
「ねーあんけん、あの虫の名前なに?」
試しに聞いてみても
「ん~」
っと全く興味のさそうな返事が返って来た。
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