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『あたしはとっくに地面の中で再生してたのさー!』
『くそっ、このぶさいくタルパめ!サヤエンボクはこの手にあるッ!今度こそ…仕留めてやる!』
ジュノンはそう言ってかまとと共に現れたサヤエンボクという豆の剣をその手に取った。
『くぉんのぅクソガキがァァァ!!今ぶさいくって言ったね!!』
かまとの目が邪悪な光を放った。
かまとは空中にいる事を無視して、宙をスタスタスタと凄まじいスピードで歩いてきた。
『…化け物め!いけ、サヤエンボク!!タルパを切り裂け!!』
ジュノンの掛け声と共に放たれた野菜剣は、空中でたちまち四メートルほどに巨大化すると、かまとめがけて大きく回転しながら斬りかかった。
『…今このワンダフルスペシャルビューティーなあたしに向かって化け物と言ったね?』
かまとは歩く速度を弱めることもなくジュノンに一直線に近付いていった。
鳩は震え上がり、ジュノンも迫り来る悪魔に恐怖を感じていた。
はっきりいって、書いている著者も怖い光景である。
『サヤエンボク!』
『ごるぁ!』
かまとに切りかかったサヤエンボク剣。
それは本来なら、木を切り倒す威力を持っていた。
しかしかまとは、その剣をよけるどころか噛み付いた。
『ごふぁー!(ごるぁ!)』
バクバクバクバク。
そして野菜剣は跡形もなく食べられた。
『共食いさせんなバーロィ!ちくしょうてやんでぃ!げっぷ!』
かまとはそう言うとたぷたぷになった腹…と、考えられる場所…をさすりながらジュノンをにらみ付けた。
『…バカな…僕のサヤエンボクが…』
ジュノンは恐怖と絶望の中、迫り来る白いかぶをただ無力に見つめていた。
『うふふふふふふ。さぁ美少年。私と…ひ・と・つ・になろう?』
かまとはジュノンとの距離三メートル程にまで近付くと、ウィンクしてそう言った。
そして鳩たちが、パタパタと泡を吹いて気絶した。
そしてジュノンも真っ白になっていた。
『ウォ~~ンチュ~~!』
『せめて!鳩たちだけはッ!』
唇を不気味に歪ませながら飛び掛かるかまと。
そしてジュノンは刃の翼を広げると、かまとに向かっていった。
『うわああぁ!!』
『かぶかぶかぶかぶかぶかぶかぶかぶかぶかぶかぶかぶかぶかぶかぶかぶかぶかぶかぶかぶかぶかぶかぶかぶ!!』
そして空中で、ふたつの影が交差した。
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