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『げふっ!』
ヤマトは振り向いたかまとを見て、思わず咳込んでしまった。
希望ヶ丘に舞い降りたピクシィのマナを感じ、何日振りかに目覚めたヤマトだったが…その顔、絶句に値する。
『おほっ……これはこれは…か、かわいいカブだ。』
『あんた今噛んだね?』
かまとをピクシィを睨み殺しそうなガンを飛ばして、ヤマトに近付いていった。
ヤマトは三百数年生きてきて始めて……死の恐怖に準ずる嫌悪感を感じていた。
『ぃぃ寄るな!!寄るでない!』
『なんだとじじい、あたしがブスだと!?』
『言っとらんわ~~~!!』
かまとは厚い唇に隠れた、鮫のような歯をむき出しにして、ヤマトの根の一つにかじりついた。
『ぎゃあああ!!』
『ていへいひろ!!(訂正しろ!!)』
『おのれタルパかぁ!!吹き飛べィ!!』
ヤマトは全神経をふり絞り、かじられた根を切り離すと枝葉を伸ばしそれを掴んだ。
そして力の限り根の上に乗ったかまとを投げ飛ばした。
『あ~~れ~~!!』
かまとは楽しげな叫びを上げて、夜空高く飛んでいった。
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