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かまとは鮫のような二枚歯を鳴らしながら、鳩たちに躍りかかった。
鳩は逃げ惑い、辺りはたちまち決死の空間に変わった。
『ウォンチュ!』
かまとの体当たりが数匹の鳩をはね飛ばした。
『ウォンチュ!!』
かまとの蹴りが鳩をしたたかに吹き飛ばした。
『ウォ~ンチュ~~~!!!!』
かまとの目から放たれた光線が、残る鳩たちを感電させた。
そして鳩は全滅した。
『ぶすなんて思うからよ!さて…動いたらお腹すいちゃった。…こいつらのマナ…吸い取っちゃえ!てへっ!』
かまとは悪魔のごときセリフを平然と吐くと、ズンズンズンドコドッコと鳩に近付いた。
だがその時、かまとの張ったバリアを切り裂き、何かが舞い降りた。
『…おのれ邪悪なタルパ!僕の友達をよくもこんな目に!!』
『あぁん!!いい男!!』
かまとは目の前に舞い降りた白い翼の妖精をハートに変わった目でみつめて、顔を赤らめた。
…げふっ。いや、失礼。
『僕は鳩の妖精…ジュノン!タルパ!僕は君をゆるさ』
『ウォ~~~ンチュ~~~~!!!!!!!』
かまとは名乗りも終わらない鳩の美少年妖精に、その全身の三分の二はあろう唇をすぼめて飛び掛かった。
…ザンッ!!
しかし、鳩の妖精…ジュノンの刃の翼がかまとを一刀両断に切り捨てた。
『タルパ、マナに還れ!』
ジュノンは背後で爆発四散したかまとに視線を送る事もなく、ポーズをとって吐き捨てた。
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