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本当は二人とも凄く頭良いんじゃないか?という葉澄の疑問をよそに、静まり返った教室には蝉の鳴き声が響いた。
――――――――…
――――――…
――――…
早々に帰った朔羅は、暁に追い付いていた。
「天野くん…っ!」
「あ゛ぁ?」
「っ…あ、あの…」
「なんだよ?」
「い、一緒に帰ってもいい?」
「…なんで?」
「な、なんでって……、一緒に帰りたいから?」
「…課題は?」
「もう終わったよ!」
「…ふぅん」
暁は朔羅をそのまま放置し、再び歩き出した。
その後を慌てて追いかける朔羅。
暁はクルッと振り返り眉間にシワを寄せながら朔羅に言った。
「ついてくんな!」
「っ…」
ビクッとなって固まる朔羅から視線を外し、暁は自分の家へと歩みを進めた。
「…ちょっと、お話したかっただけなんだけどな…」
朔羅の小さな呟きは暁には届かなかった。
―翌日:夏休み二日目―
昨日と同じメンバーで夏期講習をする暁は、暑さに耐え兼ね教室から出た。
そこにタイミング良く朔羅が登校してきた。
「お、おはよう…天野くん」
「…あぁ」
暁は一言だけ返すとそのまま廊下を進んで行った。
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