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とある一軒家。朝からドタバタしている彼、双叶朔羅(ソウキョウ サクラ)はこの家の大事な一人息子で、とても愛らしい容姿をしている。
その容姿から何度となく女性に間違われた朔羅は、一抹の不安も拭えないまま、今年の春から男子校に通うことになった。
朔羅は生まれた時から周りの新生児よりも一回り小さく、今も小さい。
中学生の時に5㎝程一気に伸びたがそれ以来ピタリと成長は止まり、身長も体重も変化がない。
身長156㎝、体重46kgの華奢な体と童顔な顔は、誰がどう見ても女の子そのものだった。
急に成長がピタリと止まったため、両親と朔羅自身も何かの病気かと思ったが、生まれつき体格は小さかったため、母は
「生まれつきだから仕方ないわね」
と半ば無理矢理納得した。
そんな朔羅には、たくさんの武勇伝があった。中学生の時、女の子と間違われて、男子から告白されたり、「女男」と虐められたり…
朔羅が不安を隠せないのも無理はなかった。虐めは中学生も中頃になると、おさまりだし、告白は朔羅自身が精一杯男をアピールすることで事なきを得た。
しかし男子校というと、また最初から朔羅は男をアピールしていかなければならない。そうしなければ(告白される)確率が今までの倍、いやそれ以上になってしまうのだ。
サブバックを背負った朔羅は、小さなため息をついて、家を後にした。
「僕…、ちゃんとやっていけるのかなぁ……?」
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