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二週間経った今、クラスが一緒だったことから、朔羅と暁は顔見知りになっていた。
職員室で見かけた気になる憧れの人、それが同じ教室にいると知り、声をかけたのは朔羅の方だった。
「あ…、天野くん」
「…?双叶か。どうした?」
「な、なんでもない♪次、体育だね!」
「…あぁ、そうだな。まぁ…出る気ないけど……」
「えっ…?!」
暁は固まったままの朔羅をそのままに教室を出た。
会話はする。しかし、ただそれだけだった。
朔羅も暁に深くは関わらない、暁も朔羅には深く関わらないのだ。
何故かと言われれば理由は無いが、お互いに深く干渉しないことが暗黙のルールになっていた。
しかし、朔羅と暁がそう接しているだけで二人のクラスの空気は穏やかで、みんな仲が良く、とてもいいクラスだ。
虐めも無く、全員が明るくそれぞれに楽しい毎日を送っていた。
暁と朔羅もそれぞれに友達が出来ていて、その中には二人の共通の友達もいる。
昼休みには朔羅がその子とご飯を食べ、その子に無理矢理誘われた暁が一緒にご飯を食べることもある。
出会いこそ平凡だったが、朔羅と暁に小さな気持ちの変化があった。
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