兄貴

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その答えははっきりしているのかもしれない いや、兄貴をアホだと思っていたあの頃からわかっていたのかもしれない 目的を見失った俺と 目的を聞かれたら即答できる兄貴 実力では誰がどう見ても俺が勝っていたけど 一番大事な部分で俺は兄貴には負けていたのだ あれから俺はバットを振っている 朝っぱらから夜遅くまでバットを振っている 「もうやめたら?」 兄貴が問う 「まだやるよ」 俺が答える もう何本振ったろうか 少なくとも、何分、何十分という単位ではないくらいは振り続けている 心底自分をアホだと思う 以前の自分なら、馬鹿馬鹿しくなってバットを投げ捨ててるかもしれない けど、そんなのどうだっていい 俺は俺なりに、野球をやる理由を見つけたつもりだから もう一回、あの場所に行きたいと、今痛切に思う 今ならあの場所で 思い切り野球を楽しめると信じている 俺の顔は、あの顔に近づいているのだろうか 馬鹿みたいに、頭が狂ったように楽しそうに笑う 俺が頑張っても一生届かないであろう どあほな兄貴のその顔に
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