九月二十ニ日~続

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あれからどれ位経っただろうか…。 1分か2分位だろうか、僕にとってはずいぶん長い事の様に感じた…。 どうもおかしい… 撃たれたはずなのに痛みがいっこうに襲ってこない… それどころか嗅ぎ馴れた香りまで漂ってきた。 僕はふと顔を上げてみる。 そこには… 見慣れた未来の泣きそうな顔があった。 「何、馬鹿な事してんの?」 未来が言うと 僕はソソクサと立って体に異変が無いか確認した。 足元には潰れたケーキが僕の足で無残に踏み潰されている。 そして僕の思考はは一つの仮説を紡ぎだした。 「誕生…日?」 僕は未来に問い掛ける。 「たんじょうびー!」 未来は復唱しながら怒っている。 状況を見て僕は黙って未来の頭を小突いた。 「いた~い!何すんのよ~」 未来は今にも泣きだしそうになりながら僕を睨みつける。 「自業自得!」 僕は冷たく言い放った。 僕の予想は大きく外れ、事件は呆気なく幕を降ろした。 つまり真実はこうだ… 相楽が言ってた通り昨日は僕の誕生日だ。 未来はご飯を食べた後その事に気付いて急いでケーキを買いに行ったらしい。 友達と遊びに行くと言ったのは僕に内緒でびっくりさせたかったかららしい。 そして部屋に合い鍵を使って入りケーキをテーブルにセッティングしたまではいいが、中々部屋に戻って来ないので腹を立ててビックリさせてやろうと部屋を暗くして息を潜めて待っていたらしい。 もちろんパーティーには欠かせないクラッカーを片手に持ちながら…。 後は安易に想像出来るだろう。 相楽とあんな、やり取りをした直後にやられたもんだから僕の心臓は限界に達っして今の状況に至るという訳だ。 もちろんその後はいつにもまして大喧嘩になったのは言うまでもない。 20歳なのにそんな子供じみたマネすんなだとか、こんな時間まで帰って来ない方が悪いとか… 確かに相楽と話し込んで時間は朝4時を回ってたとはいえ、散々だ…。 そして未来は怒ったまま仕事に行ってしまい。 僕はまた一人取り残された…。 そして雨と、冷や汗の入り交じった服のまま僕の22歳の幕はこうして上がったのである。
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