駆ける狐

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9月24日(月曜) 僕はいつもと同じアラームで目を覚ますとお湯を沸かしコーヒーを入れる。 時刻は朝6時を過ぎていた。 流石に早起きをするとかなりの眠気に負けそうになる。しかしその眠気を必死に堪え、今日からの予定を思い返していた。 相楽から送って貰ったメールのリストにはATMの現金を不定期だが回収しないと言う5件の銀行の県名と支店名が書かれている。 その下には作業に使うであろう道具がピックアップされている。 盗難車、ガスバーナー、L字クランク、ブルーシート、作業服、レンガ、タオル、スタンガン…等が書かれている。 道具は相楽がなんとかするらしい。 「スタンガンなんて何に使うんだろ?」 僕は疑問に思いながらも、自分に振り当てられた仕事について考える。 内容は簡単だ。 相楽が情報を集めた5件の銀行をそれぞれ一週間に渡って現金の運ばれる日やその周辺についての張り込み作業を行うという事らしい。 ちなみに一つの銀行に一週間かかるとして、全て調べるには五週間。 更に条件の合った銀行を更に一週間調べるので、最低でも二週間から六週間はかかると言う事になる。 話すのは簡単だが、いざ実行に移すとなると結構きつい作業になると思う。 そのためにも相楽は20万もの大金を預けたんだろうと予想した。 まぁほとんどがガソリン代と宿泊費に消える事は目に見えているが…。 しかしやはり腑に落ちないのはやはり相楽だ。 なんで知り合ったばかりの僕に20万もの現金を預けれるのだろうか? 僕が逆の立場だったら絶対にありえない話しだろう…。 それと今まで相楽と話しをしていてどうしても話しに矛盾がある様な気がしてならない。 でも今は考えても、らちがあかないので僕は一旦考えるのをやめた。 移動用の車は昨日未来に無理を言って貸してもらった。 と言ってもほとんど無理矢理だったが…。 頭の中で昨日の光景を描きながら大きめのバックに着替えを詰め込みチャックを閉めた。 そして誰もいない部屋にしばしの別れを告げて、僕は車へと向かった。
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