駆ける狐

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車に乗り込むとバックを後ろに投げ込み、僕は先日、居酒屋で登録したばかりの相楽のメアドにメールを送った。 今から出発するといった簡単な内容のメールだ。 僕たちはあれから話し合い、お互い緊急な時以外は電話は控えるといった簡単な取り決めをしていた。回りに会話の内容を聞かれない様、念の為だ。 僕は見覚えのあるマンションの駐車場から車を走らせると最初の目的地の東北へと向かう。 東北を選んだ理由は大きく分けて3つある。 1つはなるべく地元から離れて仕事をしたかったのと2つめは僕たちの地元埼玉に比べて極端に人口が少なくなる事。 そして最後は目的であるATMが東北に集中してあるとゆう理由だ。 しばらく道なりに車を走らせると相楽からメールが返信されてきた。 『りょ~かい♪がんばってなぁ♪』 メールを見て僕はため息をつく。 なんとも気の抜けた内容に僕はいきなりやる気を削がれる。 「相変わらず軽いな…」 ため息も混じりつつたまにはこうゆう旅もいいもんだと思いながら車を走らせる。 ここで絶対してはならない事は警察や他人に見られる様な目立った行動をする事だ。 例えばスピード違反で警察に捕まれば僕が県外に行く事がばれる事になる。 そうなるとこれから東北でやる計画にも支障をきたす可能性もある。 今計画を延ばされるとなるといろいろ面倒になってしまうのである。 せっかく今ATMの情報を調べても計画が何ヶ月も先になると、今の情報が全く当てにならなくなってしまう。 むろん未来も例外では無い。未来には正規の仕事で車を借りる事にしてあるし、走った分の車のメーターも知り合いの整備に戻してもらってから返す。 今は取りあえず空気の様に自然に目立たず行動する事が最優先なのだ。 僕は他人に違和感を感じさせない様なスーツを着込んで目的を果たすだけだけを考える。 僕は前をしっかり見据えるとまっすぐ車を走らせていった。
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