5人が本棚に入れています
本棚に追加
僕がトースターにかぶりついていると入口から若い女性が店内に入ってきた。
店内に入った女性は店員の案内にも従わず、軽くカールのかかった髪をなびかせて辺りを見渡している。
何かに怯えているようだが僕には関係ない。
そう思っていた矢先、彼女と目があった…。
「気のせい、気のせい」
僕は再びトースターに目を戻し食べ始める。
するといきなり向かいの空いている席に女が座った。
僕はしばらく混乱した後、女に向かって問い掛ける。
「な、何?」
女はじっと僕を見つめる。
「え~っと…」
戸惑いながら僕は続ける。
「知り合い…の訳ないよな?」
僕は自分で言ってる間にもそれは無いと確信する…。
なにせ秋田は今週初めて足を踏み入れたのだ。
知り合いが居るはずがない。
女は何かに怯えながらやっと口を開いた。
「助けて…欲しいんです…」
意味が分からない。
僕はすかさず言い返した。
「なんで見ず知らずの君を助けなきゃ…」
僕が言いかけると女が言葉に割って入ってくる。
「神原勝人さんですよね…?私…坂居由紀って言います」
僕は唖然とした。
どうして僕の名前を知っている?
考えても考えても答が出ない。
もしかして相楽の知り合いか?それなら納得出来る。
僕は相楽の事を何気なく聞く事にした。
「もしかして誰かに聞いて来たの?」
僕の予想は外れ、由紀と名乗った女は首を横に振った。
「じゃあどうして僕の名前を…?」
しばらく間が空き、由紀は話す。
「何故貴方の事を知っているかは言えません…。」
そうゆうと由紀と名乗る女が続けた言葉に僕は心臓が止まりそうになる。
「ただ…助けて頂けないのだったら、貴方のしようとしている事を警察に話します」
由紀は更に続ける。
「この3週間お疲れの様ですね?いい銀行は見つかりましたか?」
彼女は笑わず言葉を言い切った。
その瞬間僕の頭は急に真っ白になる。
脅迫される気分とゆうのはこうゆうものなんだなと自問自答すると我にかえり女に問い掛ける。
「何が目的だ…?」
女は静かに、そして冷静に答えた…。
最初のコメントを投稿しよう!