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それぞれが作業に取り掛かる。
まず僕と由紀が用意しておいたブルーシートで銀行のATMのガラスの回りを覆っていく。
その間に相楽がバックの道具をATMの入口まで運び終わると、中からどでかいハンマーを取り出した。
「ってかその辺りの岩でもよかったろうに」
僕はあまりにも無意味と思えるほど立派なハンマーを見て一言いう。
「ダメダメ!これは譲れないよん。昔からいっぺんやってみたかったんだからさぁ」
…あぁそう…勝手にしてくれ。
僕は心の中でツッコんだ。そして決意も込めてスタートの一言を言う。
「言っておくけどこれはお遊びって言う問題じゃすまされないからな!いいか?ここがスタート地点だ。警察から逃げきってこそゴールなんだからな!覚悟はいいか!?」
「声でかくない?」
「静かにしてよ!」
2人に同時にツッコまれた。
「…すいません。じゃあ始めようか。」
僕は恥ずかしさを押さえながら平常心のふりをした。
『グゥっワシャ~ン』
凄まじい勢いで硝子が飛び散る。
と同時に今頃警備会社にも警報が鳴っているだろう。
ここから警備会社までの距離は4㌔強、最低でも7分は稼げるだろう。
これは前もって地図を見て試したからほぼ大丈夫だ。
そして今から使うのが小型レーザー銃だ。
これは宝石などをカットする時などよく使われる物を小型化したものだ。
これでATMの機会を切るのだがその時摩擦で火花が飛び散る。
それをもし歩行者が偶然通りかかっても直接見られないようにする為だ。
それに見張りだっている。
これらを用いてたった5分強の時間でいい。その数分にすべてをぶつけるだけだ。
相楽はゴーグルをしてレーザーのスイッチを入れる。
一瞬超音波みたいな音が出たかと思うと同時に銃の先から光が真っ直ぐ伸びているのが分かる。
「行くよっと」
相楽がそれを鉄の箱にゆっくり近づけてゆく。
ジュッっという音がした後、その光が触れた接触面はまるでケーキの様に溶けながら切れていく。
「やばいな…ちょっと計算ミスしちゃったかも。」
僕はそこで初めて予定と本番の違いを思い知らされた。
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