九月二十二日

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「おっ、待ってたよ勝人」 相楽らしき人物が馴れ馴れしいしく話しかけてきた。 「何飲む?ってかもう飲んでるじゃん♪顔が赤いよ」 手慣れた様子の男が定員に注文してからも止まりそうにない言葉を制して僕は切り出した。 「名前相楽じゃないの?さっき定員さんが加藤って言ってたけど…」 少しの沈黙の後相楽らしき人物が白い歯を見せて話し始めた。 「それでさっきから恐い顔してたんだぁ。」 何も無かった様に相楽らしき男は話し始める。 「俺は相楽弘之【サガラヒロユキ】だよ。歳は22で勝人とタメ。前に言ったよな」 笑いながら相楽は続ける。 「店に偽名を使ったのはこれから話しを聞けば解る事だよ」 僕はまだ腑に落ちないがここまで来た以上聞かない訳にもいきそうにない話しを渋々聞く事にした。 「前話してた事は覚えてないんだよね。じゃあ最初から話すけど…」 相楽は一瞬真剣な表情になる。 「勝人、前酔ってる時ずっと愚痴ってたよね?金がなくて困ってるとか家賃滞納でマンション追い出されそうとか?そこでいい金儲け見つかったんだよねぇ♪」 相楽はいつの間にかいつもの笑顔に戻っている。 「ところで最近は生活の方どうよ?もし前と違って金に困ってないんだったら、この話しはやめておくけど?」 僕は声が出せなかった。 この男の才能なのか、いつの間にかこの話しに聞きいっていた時にこの質問だ… もちろん金に困っている状況に変わりは無かったし、まだまだ常識が足りない僕が断る理由は無かった。 「何をすればいい?」 僕は考えたふりをして答えた。 「そうこなくっちや♪じゃあ最初にそれ見てほしいな」 「それ?」 っと思った瞬間僕の携帯にメールが届いた。 メールを開くと画面いっぱいに文字が映し出された…。 ほとんどが銀行の場所と支店名だが、その下には危なっかしい道具もいくつか書き込まれていた。 「なんだか分かる?」 嬉しそうに相楽は聞く。 「まさか…銀行強盗?」 長い沈黙が流れる… 「はははははは、はひゃひゃ」 相楽が言葉にならない笑い声をあげてお腹をかかえて爆笑しだした。 「あひゃひゃひゃ勝人ちゃん最高、マジうける」 僕はなんだか腹が立ってきて相楽を睨みつけた。
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