九月二十二日

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相楽はその視線に気付いたのか笑うのを堪えた。 「わりぃわりぃ、でもお前が銀行強盗だなんて言うから…」 相楽はまだ笑うのを堪えたままで必死に続けた。 「今のご時世、銀行強盗ほどリスクが高いもんはないよね。昔に比べて強盗の数はかなり減ってるんだよ♪」 心なしか話してる顔が自慢げで腹が立つ。 「今の日本の技術はすごいよ。俺も内部に詳しい方じゃないけど、強盗をやった約6割がその場で逮捕。残り3割は取った金を無茶に使うやつが多くてそれが元で結局捕まってる。1割の確率で上手く逃げ延びれたとしても一生、人の目を気にして生きてくなんて俺はごめんだね…」 相楽は言い切り満足げに僕の顔を見る。 「じゃあ何をするつもりなんだ?」 すかさず僕は質問する。 相楽は満足げに間をタップリとって言い放った。 「機械を相手にする!」 僕はキョトンとした。 「機械!?」 意味を分からなそうにしてる僕を尻目に相楽は続ける。 「機械って言ってもそんな大掛かりな機械じゃないからねぇ?銀行なら必ず付いてる機械だよ♪」 僕はもしやと思い聞いてみる。 「もしかして銀行のATM?」 相楽が純粋な顔で頷く。 「あははははは…」 少しの間の後今度は僕が笑い声をあげた。 よく分からないって顔してる相楽も取りあえず笑い始めた。 僕はしばらく笑った後言い放った。 「…帰る」 相楽が笑うのをやめて帰ろうとしてる僕の手首を掴む。 「なんだってんだよ、意味が分からないよ」 僕も負けじと言い返す。 「無理だよムリッ!真面目に聞いて損した。最近のATMは賊が忍びこんで現金を取られない様に毎日警備員が本社の銀行に現金を運んでるんだよ。いくら機械が相手でも無い物は取れないだろ?」 それを聞いた相楽は手を緩めるかと思ったが、更に強く握りしめると同時に白い歯を見せ笑っている。 「…お前まさか」 僕はその顔を見て聞き返した。 「そのまさかだよ」 相楽は自慢げに答えた。そして言葉を続けた。 「何の為にさっきのメールを送ったと思う?下調べは万全だよ♪」 僕は急にやる気が出てきた。 そして相楽に一つの質問をした…
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