vol.1

5/7
前へ
/115ページ
次へ
それは、広也が卒業を迎える年になってもなかなか就職活動を行わず、焦りも見せないことがきっかけだったのかもしれない、と美咲は思う。 友達の彼氏のほとんどは、大手に内定が決まっているか、もしくは働いている。 それなのに広也は、将来のことは関係ないとばかりに、宮本とつるみ遊んでばかりいるのだ。 美咲がどうするつもりなのか問い掛けても、 「先の事はわからない」 「縛られたくない」 と言うばかりで、はぐらかされてしまう。 先の事はわからないという言葉は暗に、広也の未来に、美咲が組み込まれていないことを表している。 美咲の気持ちは、広也から少しずつ離れていった。
/115ページ

最初のコメントを投稿しよう!

548人が本棚に入れています
本棚に追加