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美咲が広哉に別れを口にしたのは、いつものちょっとした我が儘だった。
広也を慌てさせるための、ちょっとした悪戯。
、美咲をしっかり捕まえていて貰うための、美咲だけを見つめて貰うための。
広也は慌てて、美咲のご機嫌を伺う筈だった。
いつもそのパターンだったから。
それなのに、どうしたことか今回は冗談は通じないとばかりに、広也はあっさりと身を引いてしまった。
思いも寄らない広也の態度に、冗談だと笑うことも、縋るような真似もしたくない。
いや、出来なかった。
美咲は悲しみとも諦めともつかない複雑な気持ちになり、涙がこぼることはなかった。
(もっといい男捕まえてやる!!)
美咲は今まで敬遠していた合コンに、積極的に参加するようになった。
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