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「綺麗だねー!!」
ふわりと舞い落ちる桜の花びらを掴むように、理沙はそっと両手を差し出した。
優しい風が吹き、花びらをそっとさらってゆく。
理沙は顔にかかる長い黒髪を掻きあげ、隣に立つ長身の和樹を見上げる。
目を細めて桜を見つめていた和樹は、理沙の視線に気付くと、照れたように笑った。
「なんか、不思議だな。普段は携帯やゲームばっかりやってて、景色なんか見てないのに。淡い色なのに、なんか目が離せなくなるよな」
「それは、ここが特別な場所だからだよ」
理沙はにっこりと笑う。
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