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「パパは?」
「いつもの特等席。もう何時間になるかしら。じゃあ私も行くわ。和樹くん、家にも遊びにきてね」
「理沙の母ちゃん優しそうな人だな」
綾の後ろ姿を見送りながら和樹が呟く。
そして視線を理沙に移すと、今にもこぼれ落ちそうな涙を瞳にたたえ、父親のいる場所を見ている。
慌てる和樹を尻目に、理沙は涙を指でさっと拭う。
「ごめんね……。優しいよ。パパもあたしも、そしてママも」
ふわりと柔らかな優しい風が2人を撫でる。
理沙は嬉しそうに微笑んだ。
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