プロローグ

4/4
前へ
/115ページ
次へ
「パパは?」 「いつもの特等席。もう何時間になるかしら。じゃあ私も行くわ。和樹くん、家にも遊びにきてね」 「理沙の母ちゃん優しそうな人だな」 綾の後ろ姿を見送りながら和樹が呟く。 そして視線を理沙に移すと、今にもこぼれ落ちそうな涙を瞳にたたえ、父親のいる場所を見ている。 慌てる和樹を尻目に、理沙は涙を指でさっと拭う。 「ごめんね……。優しいよ。パパもあたしも、そしてママも」 ふわりと柔らかな優しい風が2人を撫でる。 理沙は嬉しそうに微笑んだ。
/115ページ

最初のコメントを投稿しよう!

548人が本棚に入れています
本棚に追加