15人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
ふて腐れて、地面にしゃがみ込む少女。
口の回りには、赤い果汁が滴って居る。
白いスカートにも、赤い水玉が出来上がる。
少女は、麦わら帽子を無くした事で、機嫌を損ねて居た。
走って居る間に、風に飛ばされてしまったのだ。
皮肉にも、それは少女が一番大切にして居た宝だった。
大好きな祖母からの、誕生日プレゼントを無くして終った…
少女は、汗と一緒に流れ落ちる涙を拭うと、坂道を駈け登った。
今度は、果物を落とさない様、紙袋の口をしっかりと曲げる。少女なりの工夫だ。
最初のコメントを投稿しよう!