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少女の自転車にはカゴが無い。
なので、荷物は持ったまま、ペダルを力強く漕ぐ。
片腕で運転するのは難しく、フラフラと危なっかしい動きをしながら、自転車は草原を横切る。
もうすぐで、家に辿り着く。
少女の家は、可愛らしい桃色で、青空と白い道と緑の草原の中、一層輝いて見えた。
額の汗を拭い、自転車から降りる。
果物を冷やすため、急いで台所まで駆けた。
冷蔵庫なんかは使わない。
井戸から引いた水で冷やすのが、少女は好きだった。
祖母からの受け売りだ。
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