3.祭りで金魚すくいをやると、大抵損する

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今までよく頑張ったよ、オレは。 日に日にハードになる特訓に耐え抜いた上、魔術のテクニックも飛躍的に上がった。 「さて、今日はこれでおしまい。今夜はゆっくり楽しんでくるといいッス!」 …今夜? 「何かあるのか?」 「おかしいッスね~…? 右京サンから何も聞いてないンスか?」 何度も言うが、右京氏は、肝心なことを話してくれない人だ。 「今日の夜はッスね、毬梨島(いがりじま)の夏祭りがあるンス」 島の名前なんて誰も覚えてないだろうから、読み仮名を書いとこう。 しかし…夏祭り? 「はいッス。小さな祭りッスけど、出店はけっこう出るンスよ」 祭りか…。 「…ゴンはどうするんだ?」 「あっしッスか? 花火見ながら酒でも飲むッス」 切ない! 「右京サンと」 そして悲しい! 「もしかして…誘ってくれるンスか?」 まあ…合宿中は世話になったし。 「ありがとうッス! でも、気持ちだけで十分嬉しいッス!」 でもお礼はしておきたいしな…。 「何か買ってきてほしいモンは?」 「たこ焼きとたい焼きッスね! 花火が打ち上げられる前に持ってきてほしいッス!」 …はいはい、買ってきてあげますよ…。
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