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「つーか神崎サン。あっしなんかよりも、女の子を誘って楽しむべきじゃないッスか?」
誰を誘えってんだよ? 合宿のメンバーくらいしかいねぇだろ。
「島の女の子でもナンパしちゃえばいいじゃないッスか」
オレ、彼女いない歴16年だぞ? 成功すると思ってんのか?
「全然」
殴るぞ…。
「ま、一人であれ複数であれ、祭りは楽しむものッスからね」
楽しむ、か…。
ふと、頭の中が特訓でいっぱいになってる自分に気づいた。
ゴンの言う通り、楽しませてもらおうか。
「楽しむことは忘れちゃダメッス! あと、あっしのたこ焼きとたい焼きもッス!」
たい焼きはともかく、たこ焼きって高ぇんだよな…。
部屋を出たオレは、長いため息をついた。
「ふぅ~~~~~~…」
"~"の数は、いつもの倍。
(女を誘う…)
真っ先に、ユーリ。
オレは未だに、あいつの言葉の意味が分からない。
『父さんと母さんを殺したのは……………あたしだから』
そう、それ。
祭りを口実に、聞き出してみるか…。
…いや。あいつは絶対に拒否するだろうし、オレも嫌だ。
(…慎士たちと行くか、やっぱり)
そう思っていた時───
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