3.祭りで金魚すくいをやると、大抵損する

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…自分が誘われたということに気づくのに、けっこう時間がかかった。 まあ、気づいた後も、返答に困って立ち尽くしてたんだけど。 (…どーしよう?) てか、何を悩んでんだ、オレは!? 「あの…神崎君?」 ほら見ろ! 葛西のヤツ、半泣きじゃねーか! 「あの…ダメですか?」 ぐおお…。そんな目で見ないでくれ…。心が締め付けられる…。 「…葛西」 「はひぃッ!」 誰!? もうキャラ捨ててるだろ!? 「…敬語はやめろ、って言ったろ?」 オレが指摘すると、葛西は「あ!」という顔になった。続けて下を向き、目を逸らす。 薄紫の髪の隙間から、真っ赤になった耳が覗く。顔から火が出るとは、よく言ったモンだ。 一回ため息をついた後、 「…いいよ」 オレは答えた。 その途端、葛西は勢い良く顔を上げる。 正直、心臓に悪ぃ…。後で『救〇』でも買っとこうかな…? 葛西の顔は、眩しいばかりの笑顔。 「あ…ありがとうございます!」 「…敬語グセ、直そうな」 オレの言葉に、再度赤くなる葛西であった。 …可愛いからいいけどね。
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