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…自分が誘われたということに気づくのに、けっこう時間がかかった。
まあ、気づいた後も、返答に困って立ち尽くしてたんだけど。
(…どーしよう?)
てか、何を悩んでんだ、オレは!?
「あの…神崎君?」
ほら見ろ! 葛西のヤツ、半泣きじゃねーか!
「あの…ダメですか?」
ぐおお…。そんな目で見ないでくれ…。心が締め付けられる…。
「…葛西」
「はひぃッ!」
誰!? もうキャラ捨ててるだろ!?
「…敬語はやめろ、って言ったろ?」
オレが指摘すると、葛西は「あ!」という顔になった。続けて下を向き、目を逸らす。
薄紫の髪の隙間から、真っ赤になった耳が覗く。顔から火が出るとは、よく言ったモンだ。
一回ため息をついた後、
「…いいよ」
オレは答えた。
その途端、葛西は勢い良く顔を上げる。
正直、心臓に悪ぃ…。後で『救〇』でも買っとこうかな…?
葛西の顔は、眩しいばかりの笑顔。
「あ…ありがとうございます!」
「…敬語グセ、直そうな」
オレの言葉に、再度赤くなる葛西であった。
…可愛いからいいけどね。
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