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潮風が、顔から暑さを奪っていく。
白い手すりに体重をかけながら、オレは大海原を眺めていた。
「………」
…もう飽きてるが。
同じ景色を何時間も見てれば、人間じゃなくても飽きるだろうよ。
「ふぅ~~~…」
ため息をついたオレは、視線を背後に向けた。
「………」
パラソルの日陰で、木宮がブ厚い本を読みふけっている。表紙から察するに、何かの論文みたいだ。
「………?」
オレの視線に気づいたのか、顔を上げて見つめてくる木宮。
「あ、いや…何でも無ぇよ」
「……そうか」
ポツリと言って、読書を再開する。
…こいつの場合、幽霊に見られてても動じないんだろうな…。
冷静すぎて怖いヤツは置いておき、再び海に向き直る。
「………」
オレたちが乗るフェリーは、一つの小さな島に向かっていた。
(やれやれ、だな……)
強化合宿・初日。
オレの心は、晴れない…。
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