プロローグ.騒動の前には静寂がある

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「やっぱ木宮君はすごいねぇ~」 のんきに言うのは、我らがムードメーカー・桜田。 葛西を従え、掲示板に視線を注ぐ。葛西も、 「でも惜しかったね。たったの2点差で負けちゃって…」 「…別に」 まあ、こんなこと言ってる二人だが、オレらよりは格段にいい点を取ってるわけである。 葛西 晴海:687点 39位 桜田 千夏:592点 105位 「けど、晴海もすごいよ。あたし100位以内に入れなかったし」 「えっと…それ以上言うのは、ちょっと……」 「げぼぁッ!!」 葛西の視線の先で、慎士が吐血した。 あまりにレベルの高い桜田の悩みに、着いていけなくなったんだろう。 「…まあ……」 引き金を引いてしまった桜田は、冷や汗を一筋かいて言う。 「あーだこーだ言っても、あたしらじゃ、ユーリさんには勝てないね」 ちっ、やっぱりその話が出てきたか。 …ヤツの成績。それは、文句のつけようが無い、完璧なものだ。 オレは、自分の名前の遥か上を仰ぎ見た。葛西の名前も、木宮さえ越えて。 ユーリ・ミナ・ハディス: 796点 1位
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