プロローグ.騒動の前には静寂がある

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だがなぁ…。 「これって…逆に悲しくないか? 100点満点のテストで、99点取るようなモンだぞ?」 「まあね…。ユーリさんもかなり悔しがってたし」 「何が解けなかったんだろうな、アイツ?」 「確か…召喚術のテストの最後の問い」 オレはその問いを思い出してみる。 『召喚術の理念と、それに対するあなたの意見を、50字以内で答えよ』 …確か、こんな問題だったはずだ。 "あの"右京氏が作った問題にしては、ずいぶん難しかったと思う。 「けど、オレはできたぞ?」 「おぉ! さすが、我らがE組リーダー!」 桜田が冷やかすのと、 「がぼぅッ!」 慎士がもっかい吐血するのと、 ─ガシッ! オレの肩を、細くて白い手が掴むのが、ほぼ同時だった。 「………」 振り向いた先に誰がいるのか? 古今東西を問わず、老若男女に通じる、お約束の法則である。 「………」 恐る恐る振り向くと、 「………」 大魔神のごときオーラを纏った、ユーリがいた。
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