11.嵐の前の騒がしさ

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まず目に入ったのは、敷地を囲んでいるらしい、高い塀。 それが延々と続き、かなり遠い場所で折れている。 その中央には、木製の巨大な門がデンと控えて、来客を待っている。 純和風の重厚そうな門からは、鉄製のものと大差ない、圧倒的な迫力が感じられた。 (…宍戸のヤロウ…!) 何が没落貴族だ…。ユーリん家に初めて行った時に似てるぞ、この感覚!? 「…神崎君?」 葛西が心配そうに問いかけてくる。それほどまでに、オレはスゴい顔をしていたんだろう。 「………」 この家の大黒柱を、説得しろっての…? …入る前なのに心拍数がヤバい! オレ、明日から高血圧になる! 何か知らんが断言できる! 「だ…大丈夫、だよ?」 オレを安心させようと必死なのだろうが、葛西のセリフは語尾が疑問形だ。 おまけに、あの大豪邸を背景にしているのだ。逆に不安になってきたぞ…。 「…葛西」 「あ…何?」 「…お邪魔します」 「…うん」 前述した通り、葛西は気が利く子であり、鋭い子でもある。 オレの戦慄を感じ取り、それ以上は何も言わなかった。 …これもまた、彼女なりの優しさなんだろう。
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