11.嵐の前の騒がしさ

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「………」 対するオレは、相変わらず沈黙している。 「説得するかどうかは、あなたが決めることだから、私は何も言えないわ」 立ち上がった夢海さんは、 「でも…できることなら、あの人の思いも汲(く)んであげてね」 優しく言って、和室を後にした。 オレの答えを聞かなかったのは、オレが言葉に詰まることが分かっていたからだろう。 「………」 葛西が淹れてくれた緑茶を、一口すする。 おいしいが、冷めていた。 「…ふぅ~~~」 人ん家に来てため息って、失礼な気がするけど、仕方ないよね。 (葛西の意志か…晴十郎さんの意志か…) どっちを尊重すべきか…。どっちも尊重すべきなんだろうがねぇ…。 (…でも…) オレだって、晴十郎さんの気持ちは、分からなくもない。 一応オレにも、"そーゆーヤツ"はいるんだし…。 (………) しばらく考えたオレは、とにかく、晴十郎さんの部屋に行こうと決意する。 「…っしゃ!」 そして、気合いを入れて立ち上がろうとして、 (…あ) 葛西の湯飲みの中に、茶柱を発見した。 「………」 飲むわけにもいかないし、放っておいたが、何かもったいない気がした。
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