11.嵐の前の騒がしさ

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五分ほど後─── 晴十郎さんの寝室の場所は、通りすがりの使用人に聞いた。 使用人まで和服とは…やるな、葛西家! てなことを考えてる内に、そこに着いた。 さっきの和室も立派なふすまだったが、この部屋のヤツは、その何倍も立派な気がする。 ノックしようとした手を引っ込め、代わりに呼びかける。 「葛西。まだいる?」 「あ…うん。入っていいよ」 声が返ってきたから、ふすまを開けて入室した。 晴十郎さんは布団に寝ており、葛西はその枕元に座っている。 「今布団敷いて、寝かせたところ」 「そっか。お疲れ」 「ううん。慣れてるから」 晴十郎さんが気絶しているためか、葛西の顔に、緊張の色は見られない。 「でさ、葛西。説得のことなんだけど…」 「うん。もうすぐ起きると思うから、その時に…」 「いや、そうじゃなくて…」 オレの言い淀む様子に、葛西は小首を傾げた。 「その…」 自分の結論を言うことに、今さらながら迷いを感じる。 まあ、一度決めたことをいつまでも迷ってるほど、オレは優柔不断な男じゃねーけどな。 「…葛西」 「何?」 「…今度のクラスマッチ…お前は出ないで、家の用事を優先した方がいいと思うんだ」
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