11.嵐の前の騒がしさ

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しかし、だ。 これも葛西と晴十郎さんのため。心を鬼にして、葛西を説得するとしよう。 「葛西の気持ちも分かるけどさ…今回は、親父さんの言うこと聞いてやりなよ」 「…神崎君」 「ん?」 「学園祭に行くのも…ダメかな?」 「ほへ?」 話が掴めないオレに、葛西は真剣で悲しそうな眼差しと共に言う。 「そのお茶会…学園祭の日付と、ぴったり重なるの」 「…つまり、このままだと葛西の学園祭は、準備だけで終わっちまうってわけか?」 葛西は頷いて肯定した。 「あー、っと…」 準備に参加しただけの学園祭。思い出もクソもねーな…。 「…分かった。そこん所は、どうにか説得してみる。クラスマッチに出ないのを条件にすれば…」 「神崎君」 「は………い゙?」 唐突に聞こえた低い声に、オレは発言の途中で固まる。 恐る恐る布団へ目を向けてみると、 「…晴十郎…さん?」 存在感に満ちた大男が、上半身を起こしていた。 「少し…席を外してくれないか?」 「…どの辺から起きてたんですか?」 「外してくれないか?」 「はい」 有無を言わせぬ声に、オレは素直に答える。 …嫌な汗が、大量に溢れていた。
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