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桜峰駅に着いた時、時刻は既に7時半を回っていた。
移動手段が電車とはいえ、市外へ出かけると、やっぱり遅くなってしまう。
(…何か食って帰るか)
今は夕飯を作る気分じゃない。何かこう…上手く言えないけど、満たされた感じだ。
まあ、男子諸君には伝わったと判断して、話を先に進めよう。
(ハンバーガー…いや、定食屋もいいな…。どっちにするかな?)
歩きながら考えていると、ある店の前で足が止まった。
言わずと知れた牛丼チェーン店、「吉○家」である。
(木宮のヤツ、今日もいるんだろうな…)
カウンターに座り、読書しながら牛丼を貪る、クールな常連の姿が目に浮かぶ。
(…ここにしよう)
自然とそーゆー結論に達した。
クラスマッチを前に、親好を深めてみてもいいだろう。正直、深まるとは思えんが…。
自動ドアをくぐり、カウンター席を見る。
しかし、そこに木宮の姿は無かった。もう帰ったのだろうか?
「らっしゃい!」
席に座ると、店主の威勢の良い声が飛んできた。
「お! 確か、木宮のダンナの、お友達でしたね!」
言われて、ちょっと驚く。
オレが木宮とこの店に来たのは、もう何ヵ月も前のことなのに…。
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