12.亀裂

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同日 18:30頃─── 桜峰魔術師学園の北校舎。 職員室や事務室など、事務の中枢が置かれている場所。 その1階の職員室に、クラスの準備を終えた木宮が来ていた。 右京に呼び出されたためである。 「………」 軽くノックし、入室した途端、 「教頭! もっとしっかり押さえてください!」 「押さえとるわぃ! ちょっと若さが足りんだけじゃて!」 「まったく…。何で理事長の考えは、私たちにマイナスに働いてばかりなんですか?」 「あの人の性格だ。諦めた方がいい」 「はー…。ですよね~…」 教師たちの怒号と愚痴が、堰(せき)を切ったように流れ出てきた。 学園祭は、生徒たちだけのものではないのである。 「あれ? えっと…1Eの木宮か?」 ある男性教師に声をかけられ、木宮はコクンと頷いた。 毛ほどの感情も込もっていない視線に、少し気圧されたのか、 「え~っと…何の用かな?」 先を急ぐ。 「…右京先生はいらっしゃいますか?」 「ああ、右京先生? いるんじゃないかな?」 「そうですか」 冷たく返し、木宮は右京の席に歩き出す。
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