12.亀裂

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向かう最中、教師たちのヒソヒソとした声が、彼の耳に届いてくる。 「冷た…。教師にとるべき態度ですか、アレ?」 最初に女性教師が言い、次に男性教師が続けた。 「ま、あんな性格じゃ、しょうがないって」 「あれって地なんですか?」 「ああ。オレ、1Dの担任だけど、生徒たちの話聞いてる限りじゃ、そうらしいよ?」 ここまでは聞き流した木宮も、 「まったく、どんな家庭環境で育ったのやら…」 「ある意味、貴族の子より扱いにくいですしね~。親の顔が見てみたいですよ」 この辺りで、ピタリと足を止めた。 瞳を憎悪の色に染めて。 それにも気づかない二人は、まだ話を続ける。 「オレも詳しくは知らないけど、身内亡くして、孤児院にいたって話だよ」 「孤児院ですか…。そこでも孤立してたんですかね?やっぱり」 「オレはそれより、あの変な右手の方が気になるよ」 「あ~。あれって確か、呪いの一種なんですよね?」 「そうらしいね。ったく、気味の悪い…」 さすがに我慢できず、睨みつけてやろう…と思った矢先。 木宮と二人の間に割って入るように、茶色く巨大な物体が、のそのそと歩いてきた。
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