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向かう最中、教師たちのヒソヒソとした声が、彼の耳に届いてくる。
「冷た…。教師にとるべき態度ですか、アレ?」
最初に女性教師が言い、次に男性教師が続けた。
「ま、あんな性格じゃ、しょうがないって」
「あれって地なんですか?」
「ああ。オレ、1Dの担任だけど、生徒たちの話聞いてる限りじゃ、そうらしいよ?」
ここまでは聞き流した木宮も、
「まったく、どんな家庭環境で育ったのやら…」
「ある意味、貴族の子より扱いにくいですしね~。親の顔が見てみたいですよ」
この辺りで、ピタリと足を止めた。
瞳を憎悪の色に染めて。
それにも気づかない二人は、まだ話を続ける。
「オレも詳しくは知らないけど、身内亡くして、孤児院にいたって話だよ」
「孤児院ですか…。そこでも孤立してたんですかね?やっぱり」
「オレはそれより、あの変な右手の方が気になるよ」
「あ~。あれって確か、呪いの一種なんですよね?」
「そうらしいね。ったく、気味の悪い…」
さすがに我慢できず、睨みつけてやろう…と思った矢先。
木宮と二人の間に割って入るように、茶色く巨大な物体が、のそのそと歩いてきた。
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