1.短いようで長い

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「…わぁーってますよ」 右京は頭を掻きながら言った。豪快にフケが飛び散る。 「本当に分かっているのかい? 君が言うと心配になってくるな…」 「…オレって信用ないんスね」 右京はため息混じりに言うが、瞳を鋭く煌めかせている。 「オレも…昔は大層な二つ名で呼ばれてたんスよ? 何か起こっても、大抵は大丈夫ですって」 「…昔話、嫌いだったんじゃないのか?」 電話の向こうから、理事長の呆れた声がした。 「…まあいい。今後何かあるようなら、すぐに報告してくれ。 必要とあらば、私設の自警団でも送るよ」 「どうも。それじゃ」 「またな、"葬送獣"クン」 ─プツッ  ツー、ツー、ツー… 「………」 携帯電話をしまった右京は、再び窓の外を見た。 その目は、自然と鋼介に泳いでいく。 (………) その射抜くような眼差しは、獲物を観察する狩人を思わせた。 (…重いだろ) 心中で、呟いた。 (あんなガキには…重すぎるだろ) 瞳には、憂い…。 右京は、『運命』の重さを痛感させられた。
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