1.短いようで長い

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「男のマロン! それはズバリッ…風呂場における覗きにあるッ!」 間違ってるぞ! 何だよ、『男の栗』って! …まあ、言いたいことはよく分かった。 「言っとくが、オレはお前のマロン…あ、マロンって言っちまったよ。やり直しな。 お前のロマンに付き合う気は無ぇぞ?」 「オレのではないッ! 男のマロンだッ!」 いい加減直せッ! そろそろしつこいから! 「…ったく、しょーがねーな……」 フラフラと立ち上がった慎士は、部屋のドアを開け放った。 「向こうの部屋で勧誘してくるよ」 慎士の姿が見えなくなってから数秒後、隣の部屋のドアが閉まる音がした。 「…ふぅ~~~……」 去年より、ため息の量が増えたな…。 思いながら、窓際のイスに腰かけた。 夕日の赤を見ていると、海が燃えているような、奇妙な錯覚を覚えてしまう。 「………」 たそがれるオレは、ある言葉を思い出していた。
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