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「男のマロン! それはズバリッ…風呂場における覗きにあるッ!」
間違ってるぞ! 何だよ、『男の栗』って!
…まあ、言いたいことはよく分かった。
「言っとくが、オレはお前のマロン…あ、マロンって言っちまったよ。やり直しな。
お前のロマンに付き合う気は無ぇぞ?」
「オレのではないッ! 男のマロンだッ!」
いい加減直せッ! そろそろしつこいから!
「…ったく、しょーがねーな……」
フラフラと立ち上がった慎士は、部屋のドアを開け放った。
「向こうの部屋で勧誘してくるよ」
慎士の姿が見えなくなってから数秒後、隣の部屋のドアが閉まる音がした。
「…ふぅ~~~……」
去年より、ため息の量が増えたな…。
思いながら、窓際のイスに腰かけた。
夕日の赤を見ていると、海が燃えているような、奇妙な錯覚を覚えてしまう。
「………」
たそがれるオレは、ある言葉を思い出していた。
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