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と言っても、それは単純な呼びかけだ。
『…鋼介!』
「………」
宍戸に勝った日の夜。ユーリ邸から帰る時、ユーリ本人にそう呼ばれた。
その後も何回か呼び捨てにされたが、それは、オレとあいつが二人きりの時だけ。
「………」
…だから?
今オレは、どんな表情で、どんな気持ちだ?
分からない…。
「…やれやれ……」
言葉にする。
それとタイミングを合わせたように、室内にアナウンスが響いた。
『生徒、ならびに教職員の皆様。
夕食の用意が整いました。1階の食堂へ、お集まりください』
現在時刻はもう7時。なかなか日が沈まないから、時間の感覚が狂うな…。
慎士を待ってても無駄なので、さっさと部屋を後にした。
(…長い一週間になりそうだ……)
ため息も、当分の間は止まらないな…。
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