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「魔術反応あり! たぶん透視です!」
原田の鋭い声に、全員がタオルを手に取る。
「風呂から上がって! 火傷するわよ!」
言葉と同時に、ユーリは露天風呂の湯に、二つの魔術をかけた。
(三人は恐怖のあまり凍りついている)
「熱せよ、火神の吐息!」
一つは、物体を加熱する魔術。
そしてもう一つは、
「操れ、不可視の魔手!」
物体を自在に操り、使役する魔術。
熱湯は鞭のように固まり、竹垣の外を無差別になぎ払った。
「あちぃッ!」
「ぬがぅぉッ! んだこりゃ!」
「あづづづ!」
三人がジタバタしていると、
─キリキリキリ…
竹垣の向こうから、引き絞られた白い弓矢と、少女の顔が覗いた。
─ジャラララララ…
同時に、犬神が宿ったと思われる砂利が、人の姿を形取る。
囲まれた三人に、逃げ場は無い。
「安心して」
藤咲は冷たい笑顔で言う。
「明日には忘れてあげるから」
『今晩はとことん殺る』ということらしい…。
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