2.難しい話を嫌うのは、生物として当然だと思う

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…ん? つまり…、 「右京氏が指導してくれるんじゃないんですか?」 「ああ。オレには、残りの九人の指導もあるし」 右京氏は煮物に箸を伸ばしながら、ダルそうに言った。 「お前の指導は、その教官に任せる」 オレの頭の中で、顔に大きなキズを持つ、ゴツい中年オヤジが浮かんできた。 いかん。"教官"って聞くと、どうにも怖いイメージしか出てこねぇ…。 「どんな人なんですか、その人?」 みそ汁に箸を伸ばしつつ、聞いてみた。 「面倒くせぇヤツだな」 ずいぶん簡単に言うな、この人は。 「なにしろ、連絡先がはっきりしねぇ輩だからな…。今回の合宿に呼ぶのだって、それなりに苦労したんだぜ?」 「………」 こんなアブノーマルな連中に囲まれて、マトモな特訓ができるのか…? 拭い去れない不安を胸に、食後のお茶をすするオレだった。 …頑張って無視してきたがもう無理だ。書かせていただこう。 右京氏や慎士、関が身体中青アザだらけなのは、言うまでもない。
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