2.難しい話を嫌うのは、生物として当然だと思う

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8:00頃─── 「第一訓練室……第一訓練室……」 メモ用紙の言葉を繰り返しながら、長い廊下を進んでいく。 "教官"は第一訓練室で待っており、訓練もそこでやるらしい。 「………」 やっぱり緊張するな…。相手が右京氏だったなら、緊張することも無かったろうがね。 考えている内に、目的の部屋にたどり着いた。巨大な白い扉が、デンと控えている。 「………」 しばらく立ち尽くした後、扉を開け放った。 白い壁と床が作り出す、広大な空間が広がっていた。理事長室にあった、隔離空間に似ている。 その部屋の中心に、"それ"はいた。 頭には深緑の葉を乗せ、背中にはあみがさを背負っている。足元には、棒にくくり付けられた風呂敷まで置いてあった。 全身を黄色い体毛が覆っており、フサフサの尻尾は二本も生えている。 "それ"はオレに気づき、 「あ! どもッス! 神崎サンッスね!」 話しかけてきた。 「………」 …右京氏。悪い冗談だぜ、こりゃぁ…。 ドラウプニルの力を教えてくれる"教官"が… キツネだなんて、さ…。
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