プロローグ.騒動の前には静寂がある

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『あなたは運命から逃れられない』 (………) もう三ヶ月も前だ。この言葉を、我が家の玄関で聞いたのは。 (やっぱり…。アイツが手引きしたから、オレはここにいるのか?) もし本当に、あの銀髪の男が手引きしていたのだとしたら………。 (アイツ一体…何者なんだ?) まさかとは思うが、あの男が理事長だとか…。 (幻術も…あんまり現実的とは言えねーし…) 幻術を使い、周囲の人間の認識を変える。それらしい手段だ。 が、何百人もの人間を、こんな長期間騙すことはできない。 現に右京氏も、 「幻術ぅ? 無い無い」 と、やる気の無い声で言ってた。 (ホント、何者なんだ…?) 自分の席で、静かに考え込んでいると、 「リーダー」 ポン、と肩を叩かれた。 「…西沢か?」 言いながら顔を上げると、中学生並みの身長の、小柄な男子生徒がいた。 西沢拓真。 声にも顔にも幼さが残る、"カワイイ"男子である。
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