プロローグ.騒動の前には静寂がある

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「じゃあ、他の人にも渡してくるから」 「ああ。サンキュ」 やんわり返すと、メッセンジャー西沢は、どっかに走り去った。 (………) 姿も見せない謎の男なんて忘れよう。今は現実に目を向けねば。 思いながら、プリントの黒文字を目で追う。 タイトルっぽい所に、  『~強化合宿詳細~』 …と書かれている。 「………」 今のオレは、極限まで感情を捨て去った顔をしてんだろうな…。 その下を読んでいく。 ・場所: 毬梨島(いがりじま) ・期間: 七月〇日~八月×日 (一週間) ・メンバー: クラスマッチ代表選手 ・引率者: 我らが右京大先生! ・持ち物: 各自、必要なモンを考えて持ってこい。 ケータイやゲーム機は、制限するとオレが辛いので許可。 あ、水着は絶対に忘れんなよ。特に女子。 (………) なんつーか…右京氏らしい通知だ。 ふと窓の外に目をやると、夏休み直前の青空が、目に飛び込んできた。 (………) 無事に生きて帰れますように…。
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