接近

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  僕はショルダーバックから天城に貰った手袋を取り出し言われるままにはめてみた ベンチに並ぶ色違いのお揃いの手袋をした二人 傍から見たらどう見えるのだろうか? なんかくすぐったい気持ちが起きた 「寒くなってきたね」 天城が呟いた もう陽が暮れる時間 確かに足元が冷えてきた 「…コーヒーでも飲みに行く?」 と僕が聞くと 「うーん…この前歌えなかったからカラオケがいいなぁ」 と天城は答えた それじゃあと立上がり歩きだすと天城が手を繋いできた 「寒いから腕組みたいけど今日はお揃いの手袋してるからね」 可愛い事言うじゃん でもこうして天城と二人で手を繋ぎ歩いている事が自分の中で自然と思えた 「直樹。あたしといつまでも仲良くしてくれる?」 突然、天城が聞いてきた 僕は 「うん」 と即答 それを聞いた天城は満足そうに微笑んだ 「来年は良い年になるといいね」 僕も今そう思っていた 来年も再来年もずっとずっと天城と一緒にいられたら良いななんて思った 「…天城」 「なぁに?」 「…楽しいか?」 「もちろん」 それ以上は二人に言葉はいらなかった 受験勉強に疲れていた僕の心に暖かいものが宿った   それから四時間 天城はカラオケでマイクを離さなかった… 前言撤回しようかな…
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