出会い

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  十数分後 僕の目の前にはビッグマックを頬張る天使の様な悪魔がいた マックを奢る理由はもちろん無いのだが寒さに震えている彼女を見捨てる理由も同じ位無かった 「あー生き返った。美味しかった」 確かに白かった肌に赤みがさしてきた 「…あのさ」 「ううん。違うよ。あんな事いつもやってる訳じゃなくて…たまたま?そう!たまたま」 悪びれずに話す彼女に何だかおかしくなり 「…ならいいんだ」 僕はまともに理由も聞かずに許してしまった 「ねぇ大学生?名前は?どこ住み?何中?彼女は?」 「…質問多すぎ」 「無口なんだ?あはは」 笑われた… 「…才賀直樹…予備校生…地元の一中出身…彼女なし」 何自己紹介してるんだ? 「ふぅん…直樹ね」 呼び捨てかよ 「…君は?」 そう聞くと 「ね、携帯持ってる?ちょっと貸して」 彼女はいきなり僕の携帯を取り上げて難しい顔したりアチャと声出しながら何やら操作しだし 「はい」 と返してきた 「ほんとはゲーセンでも行きたいんだけどこれから野暮用あるからさ。またね」 言うが早いか立ち上がり軽い足取りで出口へと向かった 「サンキュー」 呆気にとられた僕の手の中には新しく登録された携番とアドレスが入った携帯があった 「…アマギ」   それが彼女との出会いだった
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