☔記憶の欠けら☔

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 その時レインは、伯父さんの手伝いとして、「銀」を磨いていた。 伯父さんに隠れて、何度も何度も。 それと言うのも、伯父さんにあるお願いをするために、気を落ち着かせるためだった。 最後の深呼吸をして、躊躇いがちに話し始めた。 「伯父さん――。」 「ん~っ?」 伯父さんは、「銀」の道具を磨くのに、神経を集中させていたため、返事は上の空だ。 「あの、今日の儀式に、参加・・・しても良いですか?――したことないですし。」 レインが不安そうに聞くと、伯父さんは、レインをじっと観察した。 眉間に皺を寄せていたその様子で、レイン自身、やっぱり駄目だと思ったが―――。 「良いだろう。」 サラリと返ってきたので、一瞬伯父さんの言葉が理解出来なかった。 やっと理解出来たときは、声が裏返っていて自分のかどうか、分からないぐらいだった。 「ほっ、本当に?良いの?」 レインはどもりながら聞き返した。 「ああ・・・。その代わり、条件がある。」 「条件?」 伯父さんは、手を止め、レインを直視した。 そして、ゆっくり切り出した。 「一つ目、絶対に一人になるな。二つ目、私の言うことは必ず聞くこと。三つ目――」 そこで言葉を切り、 「・・・もし、雨が降った時は、すぐに家に戻ること。この三つを破った場合、三日間飯抜きだ。いいな、レイン。」 三つ目の条件がどう言う意味なのか、レインにはまったく分からなかった。 しかし、儀式には、これまで、参加するには早すぎると言われ続け、一度も参加したことが無かったレイン。 その時は、素直に条件を受け入れた。 「はい、伯父さん――。」
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