☔記憶の欠けら☔

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 家の前に着いた時、レインはまた空を見上げた・・・。 伯父さんは、家の中に居る伯母さんに向かって呼び掛けていたので、レインの変化には気付かなかった。 ―――心臓の音しか聞こえない・・・――― 止まない音に、顔を顰め、目を瞑る。レインの頭の中には、あのイメージが浮かんでいた。 赤子が泣いていて、2人の男女が倒れている。 ついさっきの興奮が甦ってきた。 ――何故、誰も教えてくれないの?家族じゃ無いから?・・・―― 伯父さんは、誰も出て来ない扉に背を向け、レインの方を振り返った。 「仕方ない。裏口へ・・・」 そういい掛けた。続きは分からなかった。 獰猛な客がやって来たからだ。後ろに群れを成している。 伯父さんは、玄関の前に置いておいた銃を手に取り、狼を威嚇した。 しかし、それでも狼達は、一歩一歩確実に近付いて来ているので、威嚇になっているのかも分からない。 伯父さんはハッとして、周りをキョロキョロと見渡した。 「レイン!」 狼達を刺激させないように、声を潜めようとするが、つい大きくなってしまう。 狼は、レインが立っている場所へ、ジリジリと歩み寄り、そして、大きく口を開き、鋭い牙をこちらに向ける。
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