1.『希望を乗せて』

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〔1〕          時は2516年。地球は人口が300億を超え、人間が住める場所は極限られたものとなってきていた。  それに加えて、地球規模的な食糧危機と『地軸のブレ』による異常気象によって世界のマスメディアは『地球滅亡の危機』と連日報じていた。                               中国 北京                    同年五月 『第21回 世界科学会議』                   本会議が始まる前の予備会議                        アメリカ代表 「我が国のスーパーコンピューターによれば、地軸のブレがこのままでは後五年で地球は太陽系から離脱し宇宙の藻屑になると予想している」         ロシア代表 「我が国も同じ予想である」            中国、イギリス、フランス、ドイツ、インド代表も同意見であった。                  イギリス代表 「有効な解決手段はないのか?」          アメリカ代表 「現時点ではない」    中国代表 「地球滅亡を傍観するだけなのか?」        アメリカ代表 「そうだ!」       インド代表 「3機ある『宇宙ステーション』には後何人移住できるのか?」        アメリカ代表 「あと1千万人だ…しかもスペースシャトルで運べる人数は一度に『200人』。30機しかないスペースシャトルでは五年で1千万人を運び切る事も難しい」 ドイツ代表 「そうなると優先順位を決めなくてはならないな」  アメリカ代表 「具体的には事務レベルで話し合ってもらえば良いが、原則として『若い優秀な白人』が最優先となる」  ロシア、イギリス、フランス、ドイツ代表 「異議なし!」      中国、インド代表 「異議あり!」      アメリカ代表 「ここで争っていても仕方がない。問題は地球に残る人々を如何に黙らせるかだ!」
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