‐Prologue‐夢‐

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‐Prologue‐夢‐

真っ白な光に包まれ、ぼんやりとした空間。 考えることができない空間。 頭が働かない空間。 「何をしているの?」 不安と快楽が入り混ざっているような。 何か聞こえたような。 「ココはどこなの?」 誰かいるのか。 ココに。 いや、ココはどこだ? 分からない。 「ねぇ助けてよ」 騒がし過ぎて、静かだ。 自分一人の中に、たくさんの人がいる。 「喋ってよ!」 誰かが聞いてる。 誰かが訴えてる。 誰に? 何を? 思考が消える。 「アナタは誰?」 「オレ?オレは…」 オレ? 何が? 何がだ? あっ、オレか。 オレの何だ? ん? わからない? 何が分からない? 何が分からないか分からない。 分からないが分からない。 「わからない……」 「やっと話してくれたね……」 まわりが明るく白く、暗く黒く。 ただ自分が溶けていった。 何かは分からない。 ただ分からないのが分かった。
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