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「たった…これだけ…なのか?」
「そうやで」
普段なら数分もかからず辿り着く体育館に、やっとの思いで入場すると、予想以上に地震の影響を受けていた体育館にはちらほらと生徒がいるだけだった。
見たところ、体育館のそこら中に5、6人のグループが10組ほど。
「なるほど……な、オレらは本当にかなり強運だったみたいだな」
「……やな、偶然皆生きてたし……」
猛烈に疲労した声でツナが相槌し、アオイはまだ破壊症が治まらないらしく、何故か放置されている段ボールを何度も蹴り上げる。
ヤマトも疲れが限界なのか、一人壁にもたれ休憩を取っていた。
オレとツナもヤマトにならい、壁にもたれて腰を下ろすことににする。
「はぁ……さっきまで寝てたのにもう疲れたよ」
「ワシも、眠たくはならへんけど」
この状況で寝れる方が不思議だしな。
体育館のそこらから聞こえるすすり泣く声……薄気味悪い雰囲気になった学校はとても退屈な授業のように眠気を誘いはしない。
「ゴジラでも襲ってきたか」
「古いわ、ウルトラマンちゃう?」
「なんでウルトラマンが学校壊すんだ、ウルトラマンも実は苛められてたとか?」
笑うとまではいかないが、微笑して気分を立て直す。
気分が落ちたままだと、体調も悪くなる。
笑みを残したまま壁に体重を預け、天井を見上げると、割れた屋根から空が見えた。
と言っても、真暗な闇がただあるだけだ。
「ツナの予感は見事的中だな」
「なんかゆったっけ?」
「雨が降りそうだ、それに嫌な気配してたんだろ?」
「そうやな」
その後も暫らく話していたが、疲れていたからか、次第にオレ達の口数は少なくなり、やがて黙って疲弊した体にやすらぎを与えた。
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