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「ツナ、寝たのか?」
ふと気付くと、ツナが寝息をたてている。
隣のヤマトも丸くなって眠っている。
寝顔はあまりいいようには見えない。
それに、二人とも凄い汗だ。
状況が状況だから当たり前といえばそうだが、恐らく根本的な原因は単純な暑さだ。
何か異常に暑い気がするのは、オレだけか。
手で扇ぎながら外を見ると、風が全く無いのが分かった。
変だな、こんなに曇っているなら……それなりに強い風が吹くはずだが……。
暗黒の夜空に星は見えない。
月すら、影もない。
何故、雨が降らない?
奇妙な雲だな。
「どーしたカイ?持病の夢遊病か?」
「ん?戯れ言が聞こえると思ったらアオイのスイッチがONになってたか、OFFにするときは頭を二度叩くんだっけ、寝てろ」
「長い冗談が煩くて寝れねぇーよ」
「だな……ちょっと見て回らないか?」
「あらまぁ、デートのお誘いかしらん?」
いつも通りやる気のないアオイを連れて、オレはさほど広くもない体育館を彷徨う。
一年生の集団が、落下したバスケットゴールの周りで泣いている。
天井から吊り下がった鉄柱のもとで、野球部と思われる集団が何やら話し合っている。
一人の女子が、壁を見てニヤニヤしている。
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